江戸川乱歩再発見

江戸川乱歩の本を読み返して、いろいろ考える。

2023-01-01から1年間の記事一覧

江戸川乱歩の美女シリーズ「魅せられた美女」を観る

ある意味、美女シリーズの中でもいろいろな意味で異色作なのが、この「魅せられた美女」。原作は『十字路』ですが、そもそもこの原作は江戸川乱歩自身の作ではありません。プロットは渡辺剣次という作家が練り上げ、乱歩は執筆を担当したという経緯もあり、…

江戸川乱歩の美女シリーズ「エマニエルの美女」を観る

かねがね疑問に思っていたのですが、江戸川乱歩の美女シリーズは、なぜか原作の登場人物の名前をちょっとだけ改変する妙な癖がちらほら見られます。「悪魔の紋章」の宗像隆一郎博士を「宗方」にしたり、「蜘蛛男」の畔柳博士を「黒柳」にしたり、「黄金仮面…

江戸川乱歩の美女シリーズ「黄金仮面Ⅱ 桜の国の美女」を観る

黄金仮面、3年振りの再登場。冒頭から明智小五郎自身によるモノローグが入る辺り、気合の入りようを感じます。黄金仮面の初登場作「妖精の美女」での野平ゆきの乳首ポロリというサービスも交えながらストーリーを丁寧に説明しつつ、黄金仮面が再び東京に現れ…

江戸川乱歩の美女シリーズ「大時計の美女」を観る

のっけから白髪のざんばら頭を振り回してケケケケ、ケケケケと不気味な笑い声を上げるバアさんの幽霊に度肝を抜かれます。口の周りについている肉片でグロテスクさも一入。幽霊に脅えるのは時計屋敷の主人、児玉丈太郎。シャツの胸元を大胆に開けて、いかに…

江戸川乱歩の美女シリーズ「赤いさそりの美女」を観る

サソリです、サソリ。実物はそんなに赤くない場合が多いですが、あのシルエットがちょっと不気味なんですよね。不気味さのせいか、ミステリで取り上げられることも多く、金田一少年の事件簿でも『銀幕の殺人鬼』で「サソリ座の惨劇」という高校生の自主制作…

江戸川乱歩の美女シリーズ「悪魔のような美女」を観る

江戸川乱歩の美女シリーズ全25作中、「~のような美女」と表題がついているのは本作のみです。確かに「悪魔の美女」ではちょっと語呂が悪いので、「悪魔のような美女」としているのは正解でしょう。ちなみに「~の美女」でないのは本作と「魅せられた美女」…

江戸川乱歩の美女シリーズ「宝石の美女」を観る

「白髪鬼」。金田一少年の事件簿「天草財宝伝説殺人事件」に出てくる怪人ではありません。乱歩作品としては一風変わっている原作『白髪鬼』は、マリー・コレリ『ヴェンデッタ』の黒岩涙香による翻案を乱歩が再翻案として書き直すというちょっと込み入った経…

江戸川乱歩の美女シリーズ「妖精の美女 明智小五郎対怪盗ルパン」を観る

美女シリーズ第6作にして、初のサブタイトルつき。「明智小五郎対怪盗ルパン」と、恰も黄金仮面の正体はさもアルセーヌ・ルパンですよと言わんばかりに煽ってきますが、終盤になって明智小五郎は「パリで美術品の窃盗を重ね、怪盗ルパン2世とまで言われた男…

江戸川乱歩の美女シリーズ「黒水仙の美女」を観る

屋敷の中を、庭を、バク転しながら飛び回るコウモリのような怪人物。ウフフフフフ、エヘヘヘヘヘ…という笑い声が不気味です。今回の舞台は彫刻家、伊志田鉄造の屋敷。伊志田はグロテスクな彫刻ばかりを生み出しており、個展でその彫刻の口から血が滴り落ちま…

江戸川乱歩の美女シリーズ「白い人魚の美女」を観る

冒頭からいきなり緑ずくめの怪人物の不気味な哄笑で始まる「白い人魚の美女」。出演者紹介ですでに笹本家のお手伝い・タマ子(日野繭子)の乳首もお尻の割れ目も拝めます。のっけから美女シリーズの本領発揮です。タマ子殺しの動機はよくわからず必然性もな…

江戸川乱歩の美女シリーズ「死刑台の美女」を観る

3作目にして美女シリーズの影の主役と言っても過言ではない、伊吹吾郎が遂に登場します。「死刑台の美女」、「妖精の美女」、「桜の国の美女」で3度にわたり犯人役を演じた伊吹吾郎、本作では犯罪研究家の宗方隆一郎に扮します。冒頭、明智小五郎は宗方邸を…

江戸川乱歩の美女シリーズ「浴室の美女」を観る

浴室ですってよ、浴室!どう考えても女の裸が何の必然性もなく出てきそう。 本作からこのシリーズに欠かせない、荒井注が演じる波越警部が登場します。波越は名探偵コナンの目暮警部を遙かにしのぐ超絶的な無能ですが、自己評価だけは異様に高く、自分と明智…

江戸川乱歩の美女シリーズ「氷柱の美女」を観る

今日から唐突に、ブログを書いていきます。まずは、テレビ朝日の伝説的?シリーズ「江戸川乱歩の美女シリーズ」全25作を1作ずつ、レビューしていこうと思います。明智小五郎役の天知茂の急逝が悔やまれてなりませんが、一方で末期の作品は「これはちょっと……